前職のこと⑴

自分の人生の中でトップレベルにきつかった2年間。

いまは、社屋を爆破したいし自分をつらい目に遭わせた人間は殺すと思っているけれど、きっといつかは許さないといけないんだろう。

※個人情報に関わる部分はぼやかして書いており、実際とは異なる部分もあります。

けれど、きっとこんな話はありふれていて、どこにでもあるものであることに間違いないとも思います。

 

新卒で入社したのは、某出版社の子会社でした。

面接で散々、「きみは編集向きだね」と言われていましたが配属は営業。

しかも飛び込みの新規開拓部隊。面接で主にやると言われていた既存の顧客先への提案は、ベテランの権益でした。

課せられた四半期売上目標額は自分の年収と同額程度。

1ヶ月に3本程度の契約締結が必要となり、ロクな教育や研修を受けることなく現場に放り込まれました。

飛び込み営業や、浴びせられる罵声、テレアポは確実に私の心を蝕んでいましたが

目標を達成すれば異動の願いが叶えられるため私は朝7時から24時まで毎日働きました。

狂ったような明るい挨拶を、毎日毎日していました。

そして目標に対し400%の超過達成をしたところで、私の心は壊れました。

寝ていると、電話で怒鳴られた内容がフラッシュバックし、誰もいないはずの部屋に

怖い顔をしたおじさんが現れるようになりました。

私はその度に泣きじゃくり、深夜3時に駅前のネカフェまでダッシュしてネカフェで夜をやり過ごすことが日常となっていきました。

そのあと3ヶ月、午前中に歯を食いしばって出社し午後には帰宅するということを繰り返していたために給与が6万円しか支払われませんでした。

いよいよ生活も苦しくなってきた、もうこれは睡眠薬大量摂取コースだなあとぼんやり考えていた次の日に、母親が突撃訪問をしてきました。

「びっくりさせたろ思って」と言い終わらないうちに私は号泣し、過呼吸になりながら泣き、また泣き疲れても涙が溢れ、涙で窒息しそうになりながら、次の日バケモノみたいな顔になるくらい泣きました。

その間、母親はゴミ捨て場みたいな部屋を黙々と片付け、水回りを新品同様になるまで磨き上げ、空っぽの冷蔵庫を手料理の入ったタッパーでいっぱいにしていました。

 

この日を境に私は異動を申し入れ、営業から編集部へと異動となりました。